院長の岡田です。
本日はオーナー様がよく気にされる涙やけ(流涙症)についてのお話です。
<涙やけとは>
見た目には目頭から涙があふれ出して毛が濡れ、涙の成分により変色した結果、
赤褐色になった状態のことを言います。
涙は、まず涙腺で作られ、涙点から鼻涙管を通って鼻へ抜けていきます。
その経路のどこかが詰まったり、刺激などで涙の量が増えたりすることにより、涙やけになります。
<原因>
①涙液産生量の増加
・涙腺の炎症(眼瞼炎、結膜炎、涙腺炎など)
・角膜炎、ぶどう膜炎、角膜潰瘍、角膜穿孔、緑内障などによる刺激
・異物や睫毛の異常(逆さ睫毛、内反症など)
②涙の成分の異常
・マイボーム腺機能不全
・ドライアイ(ムチン不足)
③排泄異常
・先天的なもの(鼻涙管欠損・狭窄、涙点形成不全・欠損など)
・後天的なもの(炎症産物、腫瘍、異物など)
<検査>
視診、スリット検査、涙液検査、傷のチェック、眼圧検査など、様々な眼科検査をして原因を特定します。
<治療>
原因を取り除く治療を行います。
鼻涙管が炎症産物により閉塞している場合は、洗浄処置を併せて行います。
涙やけと言っても、様々な原因疾患で同じ症状になるので、ただご飯を変えれば治るという単純なものではありません。
正確に診断・治療をする必要がありますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
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院長の岡田です。
本日は、当院の患者様の眼科症例を紹介します。
かかりつけの動物病院で治療されていましたが、治らないとのことで当院に来院されました。
シーズーの8歳の男の子です。
角膜に耳側結膜から無数の血管新生がと肉芽みられます。
診させていただいた結果としましては、「慢性表在性角膜炎」の疑いが強いと思われます。
ステロイド点眼を処方し、1か月半後の経過が下の写真になります。
点眼薬の反応も良好で、血管新生や肉芽もほとんどなくなり、かなりの改善が見られます。
このまま治療を続けていただき、点眼回数を徐々に減らしていく予定です。
・慢性表在性角膜炎(CSK)について
両眼に発症する進行性かつ慢性経過の角膜炎で、血管新生、肉芽形成を特徴とします。
進行すると、最悪失明にも繋がります。
ジャーマンシェパードやグレートハウンドに多いとされていますが、全ての犬種で見かけます。
中年齢以降での発症が多いです。
紫外線や免疫異常が原因と言われています。
・診断
一般眼科検査(スリット検査、涙液量検査、眼圧検査、傷の検査など)を行った上で、総合的に判断します。
・治療
ステロイド点眼が中心になります。
症状の改善具合をみて、点眼回数を減らしていきますが、生涯にわたる点眼治療が必要になります。
眼科診療については、知っているかいないか、検査機器があるかないかでもかなり変わってきます。
今後も当院としましては、目の治療に力をいれていきたいと思っております。
目のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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院長の岡田です。
本日の眼科は、裸眼ではなかなか見つけにくいことも多い睫毛の異常についてです。
涙が多い(流涙症)、繰り返す角膜の傷、しょぼしょぼするなどの症状が見られます。
まずはこの写真をご覧ください。
睫毛が目に向かって伸びています。
また、次の写真ですが、まぶたの裏の結膜から睫毛が生えています。
<逆さ睫毛について>
〇睫毛重生
マイボーム腺開口部から生えている状態。
トイプードル、コッカー、ダックス、シーズーなどでよく見られます。
〇睫毛乱生
正常な位置から生えている睫毛や付近の毛の向きが異常で目に当たっている状態。
シーズー、パグ、フレンチブルドッグなどの短頭種でよく見られます。
〇異所性睫毛
まぶたの裏の結膜から毛が生えている状態。
様々な犬種で見られます。手術が必要になることが多いです。
(治療)
〇拡大鏡を使って、ピンセットで定期的に抜く(数週間~数か月でまた生えてくることが多いです)。
〇凍結、電気分解などの手術。
〇異所性睫毛に関しては、メスで切り取る手術をすることが多い。
涙が多い、良く目を気にして擦る、角膜の傷を繰り返すなどの症状が見られる場合は、
一度眼科検査をオススメしていますので、お気軽にご相談ください。
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院長の岡田です。
本日は、お年寄の子でよく質問されることが多い白内障についてです。
最近目が白くなってきた感じがするな~と心配されている方も多いのではないでしょうか。
ただ、ほとんどの子は白内障はあったとしても、ごくわずか(無治療、経過観察でOK)で、
核硬化症(人間でいう老眼)と診断させていただくことが多いです。
次の2枚の写真をご覧ください。
程度に差はありますが、どっちも黒目が白くなってきています。
左が白内障で、右が核硬化症です。
見た目でわかることもありますが、スリットランプという眼科機器で調べないと
正確にはわからないことが多いです。
次の2枚がそれぞれのスリットランプでの眼科検査になります。
左(白内障)は光が奥まで届きません。
右(核硬化症)は正常できれいな楕円形で光が奥まで届いています(中心部は白くなっています)。
若い子の場合は、次の写真のように、中心部も白くは映りません。
核硬化症の子は、多少は曇りはありますが、視力障害になることはまずありません。
ただ見た目が白いだけでは診断できませんので、心配な方は、一度当院での眼科検査をオススメしています。
お気軽にご相談ください。
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院長の岡田です。
不定期ではありますが、当院の特徴でもある眼科について症例やわかりやすい説明を書いていこうと思います。
第1回目の写真は、、、進行してしまった「ドライアイ」です。
●ドライアイとは?
涙が少なくなることにより、目の表面の乾燥、どろっとした目ヤニ、目の充血、色素沈着(写真のような透明性が失われる)を起こす病気です。原因としては自己免疫疾患が一番多いです。
中齢以上のわんちゃんに多く、シーズー、パグなど短頭種に多く見られますが、他の犬種でも見られます。
●診断
一般的な眼科検査に加え、シルマーティアテストという涙液量を測定する試験紙で診断します。
●治療
①抗炎症薬(ステロイド)・・・まぶたの炎症を抑えます。
②涙腺刺激(免疫抑制剤)・・・涙を作る涙腺を刺激します。
③人工涙液・・・涙の代わりとなり、乾燥を防止します。
などの点眼薬を組み合わせて治療していきます。
ただ、見た目に乾燥しているのがわかるぐらい進行していると、効き目が薄いことが多いので、
早期検査、早期診断、早期治療が必要となる病気です。
目やにが多い、白目が少し赤いなどの症状が見られるわんちゃん、好発犬種のわんちゃん
は眼科検査をオススメしておりますので、お気軽にご相談ください。
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